水槽に流木をそのまま入れると、流木に含まれる「フミン酸」や「タンニン」といった成分が溶け出し、飼育水が茶褐色に染まってしまいます。これはブラックウォーターと呼ばれ、生体によっては好まれる環境ですが、鑑賞性を損なうだけでなく、急激な水質の変化(pHの低下)を招く原因にもなります。
また、未処理の流木には雑菌や寄生虫、目に見えない汚れが付着している可能性もあります。魚やエビが安心して過ごせる環境を作るために、正しい手順でアク抜きを行うことが大切です。
最も確実でスピーディーなやり方は「煮沸」です。大きめの鍋に流木を入れ、1時間から数時間ほど煮込むことで、組織の奥にあるアクを強制的に排出させることができます。同時に殺菌・殺虫効果も期待できるため、非常に効率的です。
鍋に入らないほど大きな流木の場合は「漬け置き」を行います。バケツや衣装ケースに水を張り、数週間から1ヶ月ほど放置します。時間はかかりますが、流木の形を崩さず、じっくりと水を浸透させることができます。お湯を使ったり、市販の「アク抜き剤(重曹などが主成分)」を併用することで期間を短縮することも可能です。
アク抜きをしていても、流木が浮いてきてしまうのは多くのアクアリストが直面する悩みです。これは流木の内部に空気が残っているためで、完全に水を吸い込ませる必要があります。煮沸を繰り返すと組織の空気が抜けやすくなり、沈下を早めることができます。
どうしても沈まない場合は、石を重しにして沈めておく、あるいはステンレス製のビスで平らな石やアクリル板に固定する「台座」を作る方法が有効です。数ヶ月水に浸けておくことで、最終的には自力で沈むようになります。
水槽に入れて数日後、流木の表面に白い綿のようなモヤモヤが発生することがあります。これは通称「水カビ」と呼ばれる菌類の一種です。流木に残った有機物を栄養にして繁殖しますが、これ自体が健康な魚を死なせることは稀です。
対処法としては、古い歯ブラシなどでこすり落とすのが一般的です。また、ヤマトヌマエビやオトシンクルス、サイアミーズ・フライングフォックスなどの生体は、この白いモヤモヤを好んで食べてくれるため、クリーナー生体の力を借りるのも賢い選択です。
アク抜きが終わったら、最後に真水できれいに洗い流しましょう。特にアク抜き剤を使用した場合は、成分が残っていると生体に悪影響を及ぼす可能性があるため、数日間はさら水にさらしておくのが無難です。
また、手で触ってみて、腐敗して柔らかくなっている部分がないか確認してください。スカスカになった部分は水質悪化の元になるため、あらかじめ取り除いておきましょう。これらの準備を整えることで、理想のレイアウトを長く維持できるようになります。
煮沸なら数時間で終わりますが、漬け置きの場合は流木の大きさや種類によって2週間から1ヶ月以上かかることもあります。水の色が薄くなってきたら完了の目安です。
川の流木は同様の手順で可能ですが、海の流木は「塩分」が含まれているため注意が必要です。塩抜きには数ヶ月単位の長期間が必要になることが多く、生体への影響を考えると市販品を使用するのが最も安全です。
流木から出るアクや汚れは非常に強力で、鍋に色が移ったり独特の臭いが付いたりします。可能であれば、100円ショップやホームセンターで購入したアクアリウム専用の鍋を用意することをおすすめします。