アクアリウムを美しく保つ上で最大の悩みとなるコケ。その発生には主に「光・栄養・二酸化炭素(CO2)」のバランスが深く関わっています。照明の照射時間が長すぎたり、窓際で直射日光が当たっていたりすると、植物であるコケは爆発的に増殖します。
また、魚の餌の与えすぎや生体数に対してろ過能力が追いついていない場合、水中の硝酸塩やリン酸塩といった「栄養分」が過剰になり、コケの温床となります。水草の成長が停滞し、これら栄養分を吸収しきれなくなった隙を突いてコケが勢力を広げていくのです。
水槽を立ち上げて間もない時期に発生しやすいのが、ガラス面や石に付着する茶色のヌルヌルとした「茶ゴケ(珪藻)」です。これは水槽内のバクテリアが十分に定着しておらず、水質が不安定な時によく見られます。
茶ゴケは比較的柔らかいため、スポンジなどで簡単にこすり落とすことができます。また、コケ取り能力の高いオトシンクルスや石巻貝を導入することで、驚くほど綺麗に掃除してくれます。水質が安定してくれば自然と収まることが多いコケです。
ガラス面にこびりつく「緑藻(スポット状コケ)」や、水草に絡みつく糸状の「アオミドロ」は、光量と栄養が過剰なサインです。スポット状のものは非常に硬いため、専用のスクレーパーを使って物理的に削ぎ落とすのが最も効率的です。
糸状のコケに対しては、ヤマトヌマエビの導入が非常に効果的です。数匹入れるだけで、一晩で綺麗にしてくれることも珍しくありません。根本的な解決には、照明時間を1〜2時間短縮したり、水換えの頻度を上げて水中の余分な肥料分を排出したりすることが重要です。
石や流木、古い水草の縁に黒くて硬いブラシのような塊ができる「黒髭ゴケ」は、アクアリストにとって最も手強い相手の一つです。水流が強い場所や、リン酸塩が蓄積した環境を好み、一度付着するとなかなか剥がれません。
対策としては、水流の向きを調整することや、サイアミーズ・フライングフォックスなどの黒髭ゴケを食べる生体を導入することが挙げられます。また、流木など取り出せるものは、市販の木酢液を薄めて塗布し、枯死させてから生体に食べさせる方法も一般的です。
コケ対策において、生体の力を借りる「生物兵器」の導入は非常に有効です。ただし、コケの種類によって得意不得意があります。茶ゴケにはオトシンクルス、糸状のコケには食欲旺盛なヤマトヌマエビ、ガラス面の緑藻には石巻貝やフネアマガイが最適です。
注意点として、生体はあくまで「発生したコケを減らす」ための助っ人であり、コケの原因そのものを除去するわけではありません。生体を入れたからといって放置せず、給餌量の調整や適切な換水といった基本的な管理を並行して行いましょう。
一般的には1日8〜10時間が目安ですが、コケが発生しやすい環境であれば6〜7時間に短縮して様子を見ることをおすすめします。タイマーを使って毎日決まった時間に点灯・消灯させることがリズムを作るコツです。
コケ取り能力の高さを優先するなら大型で食欲旺盛なヤマトヌマエビですが、水草を食害することもあります。一方、ミナミヌマエビは能力は劣りますが水槽内での繁殖が楽しめ、小型魚との相性も良いのが特徴です。状況に合わせて選びましょう。
水換えで排出できるのは浮遊している栄養分のみです。底砂に溜まった汚れ(デトリタス)が栄養を供給し続けている可能性があるため、底砂掃除を丁寧に行ってみてください。また、ろ材が目詰まりしてろ過能力が落ちていないかも確認が必要です。