グッピーは「熱帯魚飼育はグッピーに始まりグッピーに終わる」と言われるほど、奥が深く、かつ初心者にも親しみやすい魚です。その最大の魅力の一つが、初心者でも比較的簡単に繁殖を楽しめる点にあります。
卵ではなく、親魚のお腹の中で孵化してから稚魚の姿で生まれてくる「卵胎生」という形態をとるため、特別な設備がなくても自然と数が増えていくことも珍しくありません。色とりどりの稚魚が泳ぎ回る姿は、アクアリウムの大きな喜びとなるでしょう。
グッピーの繁殖を目指すなら、まずは健康なオスとメスを同じ水槽で飼育することから始めます。理想的な比率はオス1匹に対してメス2〜3匹です。オスがメスを追いかけ回す性質があるため、メスのストレスを分散させることが安定した繁殖に繋がります。
水質は中性から弱アルカリ性を好みます。急激な水質変化は親魚の健康を損ねるため、週に一度程度の定期的な水換えを欠かさないようにしましょう。また、水草(ウィローモスやマツモなど)を多めに入れておくと、メスの隠れ家や稚魚のシェルターになり、生存率がグッと上がります。
メスの妊娠が進むと、お腹が角ばったような四角い形になり、尻びれ付近の「妊娠マーク」と呼ばれる部分が黒く濃くなってきます。出産が近づくと、メスは水槽の隅でじっとして動かなくなったり、上下に激しく泳いだりと、普段とは違う行動を見せることがあります。
他の魚に食べられてしまうのを防ぐために、出産直前に「産卵箱(隔離ケース)」へ移動させるのも一つの手です。ただし、移動のタイミングが早すぎるとストレスで早産してしまうこともあるため、お腹の形を慎重に観察することが大切です。
生まれたばかりの稚魚は非常に小さく、口も小さいため、専用のパウダー状の餌を与えるのが基本です。1日に3〜4回、食べ残しが出ない程度の少量をこまめに与えることで、成長のスピードが上がります。ブラインシュリンプを沸かして与えると、栄養価が高く、発色も良くなるのでおすすめです。
稚魚の時期は水質の悪化に非常に敏感です。小さな隔離ケース内で育てている場合は特に水が汚れやすいため、スポイトで底に溜まったフンや食べ残しを毎日掃除しましょう。ある程度の大きさ(1.5cm〜2cm程度)になり、親に食べられないサイズになったらメインの水槽に戻すことができます。
グッピーはその繁殖力の高さから、気づくと水槽内が魚で溢れかえる「過密飼育」の状態になりやすい魚です。魚の数が多すぎると、酸素不足やアンモニア濃度の急上昇を招き、病気が蔓延するリスクが高まります。
あらかじめ増えた後のことを考えておくのが飼い主の責任です。オスとメスを別々の水槽で分ける「雌雄分離」を行って繁殖をコントロールするか、増えた個体を譲渡できる先を確保しておくなど、計画的に増やし方を楽しむ姿勢が大切です。
オスは体が小さめで、尻びれが「ゴノポディウム」という細長い交接器に変化しています。また、ヒレが大きく色彩が鮮やかです。メスは体が一回り大きく、ふっくらとしており、尻びれが扇形をしています。
メスの年齢やサイズにもよりますが、初めての出産では10〜20匹程度、成長した大きなメスになると一度に50匹以上、時には100匹近く産むこともあります。
最も効果的なのは産卵箱(サテライトなど)の使用です。また、水槽内に浮き草やウィローモスなどの水草を密生させることで、稚魚が隠れるスペースを確保し、自然な環境での生存率を高めることができます。