アクアリウムにおいて水草が光合成を行うためには、光、肥料、そして二酸化炭素(CO2)の3要素が欠かせません。水槽内には魚の呼吸やバクテリアの活動によって自然に発生するCO2も存在しますが、多くの水草を美しく、健康に育てるためにはその量だけでは不十分なことがほとんどです。
強制的にCO2を添加することで、水草は本来の生命力を発揮し、気泡を付ける幻想的な姿を見せてくれるようになります。また、水草が元気に育つことで水中の余分な養分が吸収され、結果としてコケの抑制につながるという大きなメリットもあります。
すべての水草にCO2添加が必須というわけではありません。例えば、アヌビアス・ナナやミクロソリウム、ウィローモスといった「陰性水草」と呼ばれる種類は、成長が緩やかで低光量・低CO2環境でも十分に維持が可能です。初心者の方が「まずはCO2なしで」と考えるなら、これらの種類から選ぶのが定石です。
一方で、グロッソスティグマなどの前景草で絨毯を作りたい場合や、赤系のロタラを鮮やかに発色させたい場合は、CO2添加がほぼ必須となります。一般的に、成長が早く光を好む種類や、葉が細かく繊細な水草ほど、添加による恩恵を強く受ける傾向があります。
CO2添加の量を決める際、最も一般的な指標が「バブルカウンター」での泡の数です。標準的な60cm水槽(約60L)であれば、まずは「1秒に1滴(1bps)」からスタートするのが基本とされています。30cm前後の小型水槽なら「3秒に1滴」程度まで絞り、様子を見ながら調整します。
水草の密度が非常に高い場合や、大型水槽の場合はさらに増やしますが、一気に増やすのは禁物です。水草が酸素の気泡を出し始めているか、逆に魚が水面で鼻上げ(酸欠・CO2過多のサイン)をしていないかを観察しながら、数日かけて最適なポイントを探っていきましょう。
目分量での調整に不安がある場合は、飼育水のpHとKH(炭酸塩硬度)から水中のCO2濃度を推定する計算機や対照表を活用するのも手です。一般的に水草が最も活発に光合成を行い、かつ生体に悪影響を与えにくい「ゴールデンゾーン」は、CO2濃度15〜30mg/L程度とされています。
ただし、計算上の数値はあくまで目安です。夜間にエアレーションを併用しているか、水流の強さはどうかといった個別の環境要因で実際の溶け込み具合は変わるため、最終的には自分の水槽の水草の状態を「見る」ことが何よりの指標になります。
CO2添加は必ず「ライトが点灯している間」だけ行います。夜間、ライトが消えた後の水草は光合成を止め、魚と同様に酸素を吸ってCO2を吐き出すようになります。この状態で添加を続けると、水槽内が深刻な酸欠状態に陥り、生体が全滅してしまうリスクがあります。
電磁弁を使ってタイマー管理を行うのが最も安全で効率的です。また、消灯時間はエアレーションを行い、水中の酸素濃度を高めておくことで、昼間の光合成による成長をより確実にサポートすることができます。
枯れることはなくても、成長が極端に遅くなったり、色が薄くなったりします。また、茎が細く間延び(徒長)してしまい、水草本来のボリューム感や美しさが損なわれやすくなります。
厳禁です。夜間は水草も酸素を必要とするため、添加を続けると魚やエビが酸欠で死んでしまう恐れがあります。必ず照明と連動させて、消灯時は止めるようにしてください。
気泡が付くためには、光の強さと水中の酸素飽和度も関係します。CO2添加量だけでなく、ライトの光量が足りているか、水草のトリミングが適切で光が下まで届いているかを確認してみましょう。