「ベタは酸素の少ない小さなビンやコップでも飼える」という話を聞いたことがあるかもしれません。確かにベタはエラ呼吸だけでなく、空気中から直接酸素を取り込める『ラビリンス器官』を持っているため、酸欠には非常に強い魚です。しかし、だからといって狭い容器が適しているわけではありません。
極端に水量が少ない環境では、フンや食べ残しによる水質悪化が非常に早く進み、ベタにとって大きなストレスとなります。ベタを「生かす」だけでなく「美しく元気に育てる」のであれば、コップでの飼育は卒業し、適切な飼育環境を整えてあげましょう。
初心者の方がベタを飼い始めるなら、最低でも3〜5リットル、理想を言えば10リットル程度の水量がある水槽を選ぶのがおすすめです。水量が多ければ多いほど水質が安定し、水温の急激な変化も防ぐことができるため、結果的に管理が楽になります。
また、ベタ(特にヒレの長いトラディショナルタイプなど)は泳ぎがあまり得意ではありません。フィルター(ろ過器)を使用する場合は、水流を極力弱める調節をするか、水草や流木を配置して水流が直接体に当たらない「止水域」を作ってあげることが大切です。
ベタはタイ原産の熱帯魚で、25度〜28度程度の温かい水を好みます。水温が20度を下回ると活動が鈍くなり、エサを食べなくなったり免疫力が低下して病気を引き起こしたりするため、冬場はもちろんのこと、春先や秋口の冷え込みにも注意が必要です。
小さな水槽でも設置できるベタ専用のオートヒーターなど、場所を取らない器具も多く販売されています。夏場以外はヒーターを常設し、水温計で毎日チェックする習慣をつけることが、ベタを長生きさせる秘訣です。
エサはベタ専用に開発された人工飼料をメインに与えましょう。ベタの胃は非常に小さいため、一度にたくさん与えすぎると便秘や体調不良の原因になります。1日1〜2回、2〜3分で食べ切れる量を目安にし、数粒ずつ様子を見ながら与えるのが理想的です。
もしベタがエサを残してしまった場合は、水質悪化を防ぐためにスポイトなどですぐに取り除いてください。また、たまにおやつとして乾燥赤虫などを与えると喜んで食べますが、栄養価が高いため与えすぎには注意しましょう。
ベタは「闘魚」という別名の通り、非常に縄張り意識が強い魚です。特にオス同士を同じ水槽に入れると、どちらかが死ぬまで喧嘩を続けてしまうため、単独飼育が基本となります。メス同士であれば複数飼育ができることもありますが、相性が悪いと小競り合いが発生します。
他の魚種との混泳については、ベタの長いヒレをかじる癖のある魚(スマトラなど)や、ベタが敵と見なしてしまうような派手な色の魚は避けましょう。底の方でじっとしているコリドラスや、大人しいエビ類であれば成功しやすいですが、個体の性格にもよるため、常に観察が必要です。
必須ではありませんが、フィルターがない場合は有害物質を排出するために、2〜3日に一度は半分程度の水を換える必要があります。管理を楽にし、水質を安定させたいのであれば、水流を弱く調節できる小型のフィルターを設置することをおすすめします。
健康な成魚であれば、3日〜1週間程度はエサを与えなくても問題ありません。むしろ留守中に自動給餌機などでエサを与えすぎて水が汚れる方がリスクが高いため、出発直前に水換えを行い、留守中は何も与えずにライトを消して静かにさせておくのが一般的です。
それは『フレアリング』と呼ばれる行動で、1日5分程度であればむしろ健康維持に役立ちます。ヒレを全開にして威嚇することで、ヒレの癒着を防ぎ、新陳代謝を促す効果があります。ただし、ずっと鏡を見せたままだと体力を消耗しすぎてしまうので、時間を決めて行うようにしましょう。